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新年あけましておめでとうございます。市民の皆さまにおかれましては、健やかな新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
令和6年4月から、鹿嶋市立の小・中学校は3学期制から2学期制へと移行しました。2学期制の導入により、学校は大きく変わりました。
まず、授業期間が長くなったことで、子どもたちがじっくりと学習に取り組む時間が増えました。その結果、子どもたちはより深い理解を得たり、継続的に学び続けたりすることができるようになったと感じています。
さらに、先生方が子どもたちと向き合う時間がしっかりと確保できるようになったことで、先生方の働き方改革にもつながっています。こうした取り組みによって、より充実した教育環境が整ってきたのではないかと思います。
市立小・中学校において、令和6年6から「ラーケーション」を導入しました。ラーケーションとは、「ラーニング(learning:学習)」と「バケーション(vacation:休暇)」を組み合わせたもので、平日に学校を休み、学校以外の場所での体験活動などにより学びを深める取り組みです。
土日にはなかなか行けない場所を訪れたり、多くの人と触れ合ったりすることで、「家族での体験が増えた」「貴重な学びの場になった」など、保護者や子どもたちから非常に好評をいただいています。
子どもたちが学びの幅を広げ、自己の在り方や生き方を考える貴重な機会となることを期待しています。
国語はすべての教科の基礎となることから、子どもたちの「国語力」を高めるために、令和6年4月から読売新聞が作成する学習教材「よむYomuワークシート」を小学4年生以上を対象に本格的に導入しました。
この教材は、令和5年9月から試験的に活用しており、初めて目にする文章を理解する力が養われていると、確かな効果を実感しています。
今後も継続することで、言語能力や情報を正しく使う力、論理的に考える力が一層伸びることが期待されます。
これからの時代をしっかりと生き抜く子どもたちを育てていくためには、子どもたち自身が主体的に学ぶ力を身につけることが重要です。そのためには、先生自身も常に学び続け、新しい知識や技術を取り入れながら、授業の質を向上させる努力を重ねていくことが求められます。
その一環として鹿嶋市では、「授業改善プロジェクト」を実施しています。これまで、著名な大学教授をお招きし、指導や研修を通じて先生方の指導力向上に努めてまいりました。また、このプロジェクトを中学校区ごとに展開し、国語科、算数・数学科、英語科、情報教育の4つのテーマを設定することで、4年間で全てのテーマを網羅できる仕組みを整えました。同じ中学校区の教員が協力して研修に取り組むことで、指導力の向上とともに教員間の連携も深まっています。
今後は、この授業改善プロジェクトをさらに進めるために、小中一貫教育の導入が重要であると考えています。
小中一貫教育の利点は多岐にわたります。特に「学びの系統表」を活用することで、9年間の連続した学びを設計し、小学校と中学校の分断を解消することができます。この取り組みによって、学力向上だけでなく、子どもたちの自己肯定感や学習意欲の向上も期待されます。
鹿嶋市では、施設一体型小中一貫校として、すでに開校している高松小中学校に続いて、この4月から、全ての市立小・中学校が分離型小中一貫校として運営を開始します。同じ中学校区の小中学校において、教育の連続性や一体感、そして学校間の連携を意識した『学園制』を導入し、小中一貫教育をさらに進めていきます。この学園制は、ただ名前を付けるだけではありません。子どもたちに、『私たちは同じグループ、仲間なんだ』と感じてもらうための大切な取り組みです。この制度を通して、中学校区全体が一体となり、子どもたちが安心して学び、成長できる環境を整えていきます。
さらに、この取り組みは、地域の皆さんや市外の方々にも『鹿嶋市では、小中一貫教育にしっかりと取り組んでいる』と感じていただけるのではないかと考えています。学園制の導入により、子どもたち一人ひとりがつながりを実感しながら、より豊かな学校生活を送れるよう、全力で取り組んでまいります。
生成AIの導入は、教育に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。鹿嶋市では、この技術を活用し、子どもたち一人ひとりに合わせた学びを支援する『スクールAI』を試験的に導入しています。
このAIは、単に答えを教えるのではなく、子どもたちが学んでいる内容をより深く理解できるようにヒントやフィードバックを与えるてくれる存在です。さらに、AIは先生方の業務を効率化する手助けもしてくれます。うまく活用することで、先生方が子どもたちと向き合う時間をより多く確保できるようになると期待しています。
令和6年11月、鹿嶋市はフィリピン共和国ダナオ市と姉妹都市を締結しました。これを機に、子どもたちの英語教育をさらに充実させていきます。
現在、ダナオ市から外国語指導助手(ALT)の派遣に向けた準備を進めています。フィリピンの方々は英語を第二言語として学び、公用語として活用しているため、その高い英語能力や学びの経験を鹿嶋市の子どもたちに還元できると期待しています。
ダナオ市との交流を通じて、子どもたちが広い視野を持ち、世界を感じるきっかけを得られるよう、今後も鹿嶋市の教育を発展させていきたいと考えています。
子どもたちが「生涯にわたってスポーツや文化芸術活動を楽しむ環境」を整えるため、地域クラブ活動を推進しています。この活動は地域の方々の力を借りながら、行われるスポーツ・文化芸術活動であり、休日に生徒が自分の興味や好きなことに合わせて参加できる活動となっています。地域クラブ活動の導入に伴い、令和7年9月以降、休日の学校部活動は廃止となります。一部の競技では令和7年1月から地域クラブ活動がスタートし、今後も活動の拡大が期待されます。教育委員会ではこれらの団体を支援しながら、受け入れ態勢をしっかり整えていきたいと考えています。
鹿嶋市でも、人口減少や少子化が進む中、令和6年度から学校規模の適正化について検討を始めました。昨年12月には、小学校の統合などを検討する基準を策定し、その基準に該当した学校では、今後、地域や学校ごとに統合の時期や統合校の詳細を決めるため、検討委員会を立ち上げていきます。
学校規模の適正化は、子どもたちが集団の中で多様な考えに触れ、互いに認め合い、協力し合い、切磋琢磨する環境をつくるための大切な取り組みです。こうした経験を通じて、一人ひとりの資質や能力を伸ばし、鹿嶋市が目指す教育の実現につなげていきたいと考えています。
今後も未来を担う人材となる鹿嶋っ子の育成を目指して、教育環境を整えるとともに、市民の皆さまのご理解・ご協力を賜りながら、更なる教育行政の発展に努めてまいります。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和7年1月1日
鹿嶋市教育委員会教育長 川 村 等