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祀り(まつり)の道具
記事ID:0050029
更新日:2021年3月29日更新
鹿嶋市内から出土した古墳時代の石製の祭祀道具を紹介しましょう。祭祀に使用された石製品は、柔らかく加工しやすい石(滑石など)で作られており、鹿嶋でも「石製模造品」「子持勾玉」といった古墳時代の石製の祭祀道具が出土しています。
…このような石製品を用いる祭祀は、仏教が伝来して国家祭祀が姿を変える中で、次第に姿を消していきました。
石製模造品(せきせいもぞうひん)
石製模造品とは、石材で、短剣や勾玉や鏡をミニチュアサイズに模した祭祀道具です。薄く扁平に加工されています。儀式の際には榊などの木の枝に掛けて使われていたと推測されています。
石製模造品は、葬送の祀り・豊作を祈る祀り・家内の祀り・国家の祀りなど様々な祭祀に使われていました。鹿嶋では現在のところ、古墳の副葬品として出土した例はありませんが、低地の水田跡(湖岸水田遺跡:大船津地区及び爪木地区)の調査や台地上の竪穴住居(厨台遺跡:厨台地区)から石製模造品が出土しており、豊作を祈る祀りや家内の祀りに使用されていたと思われます。
子持勾玉(こもちまがたま)
子持勾玉も、様々な祭祀に用いられた祭祀道具で、これも滑石で作られています。腹や背や側面に小さな勾玉を張り付けたような形をしていることから “ 子持勾玉 ” と呼ばれています。5世紀半ばに出現し7世紀半ばに終焉を迎える古墳時代の代表的な遺物です。