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足喰(あしばみ)の池
記事ID:0050216
更新日:2021年3月29日更新
昔むかし、下塙(しもはなわ)の池のほとりで一人の村娘が草刈りをしていました。娘は疲れたので、一休みをしようと池に足を浸していました。
すると草むらから一匹のかなへびが出てきてチロチロと娘の足を舐めるではありませんか。娘はびっくりして、草刈りに使った鎌を握りあげて
「わたしをのむ気か。のめるもんならのんでみろ。」と言って、池の中へへびを落としてしまいました。
すると、不思議なことに池の一角から黒煙が沸き上がり、みるみるうちに空を覆いつくし、池の中から水柱が高く吹き上がって、中から大蛇が現れました。
そして大蛇は、娘を足からのみ込むと、池の中へ引きずり込んでしまいました。
村人は大蛇が現れた池を「足喰の池(あしばみのいけ)」と呼び、蛇は魔物だからいじめないようにと言い伝えました。
この池は今は埋め立てられ、かたわらの小高い丘にはその娘の供養のためか、「妙蓮信女 享保七年四月」と刻まれた石碑が立っています。