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鹿嶋市における放射線による健康影響について、専門家の先生をお招きし、公開講演会を開催いたしました。 講演会時の質問内容と回答を掲載します。
■第1回講演会(平成23年7月30日開催 茨城大学 理学部教授 田内広 講師の回答)
Q1.2歳になる娘が3月の震災以来、外で普通に遊んでいた。今後の生活の注意点はありますか?
Q2.セシウムは特定の植物や動物、魚介類などに濃縮される性質を持っているのか?
Q3.野ざらしの資材置き場にはセシウムが蓄積されていると考えて良いか?
Q4.部屋の掃除について
Q5.2歳の子供がいるが、外遊びは控えさせた方が良いか?
Q6.3食井戸水を利用しているが、ミネラルウォーターを利用した方が良いか?
Q7.芝生について
Q8.家庭菜園をしており、それを食べても大丈夫か?
Q9.食品に関する放射線の情報が少ない
Q10.料理の時に気をつけることは?
Q11.生野菜は?
Q12.市内の放射線量にばらつきがある。放射線量が高い場所に子供を近づけないようにしているが、他にやることはあるか?
Q13.簡単に出来る除染方法はあるか?
Q14.どれくらいまで取り除けば良いか?
Q15.市民が自発的に出来ることはある?
Q16.放射線による健康被害はどのようなもの?
Q17.放射性物質は、体内に入ってからどのくらいで排出されるか?対策は?
Q18.放射線は年齢や性別によって影響の違いはあるのか?個人差はあるのか?
Q1 2歳になる娘が3月の震災以来、外で普通に遊んでいた。今後の生活の注意点はありますか?
A1
内部被ばく(吸い込みなどを考慮)しても、ずっと家にこもっていた人と比べてぜいぜいレントゲン写真1枚分の違いなので、心配する状態ではない。
基本的に何十マイクロシーベルトで癌が増えるということは考えられない。
心配しすぎてストレスになる方が、体にはよくない。
気になれば定期的に検診を受けることも必要だけど、そこでレントゲンを撮るのでそこもよく考える必要がある。
Q2 セシウムは特定の植物や動物、魚介類などに濃縮される性質を持っているのか?
A2
セシウムは生物にとって非常に重要なカリウムっていうミネラルとほとんど同じような科学的な性質をもっている。
カリウムは全身に必要なミネラルだが、その中にも自然性の放射性カリウムというのがあり体の中に結構な量が入っている。
放射性セシウムはカリウムと同じなので、特に蓄積する場所というのはない。
魚介で蓄積されるということもない。
セシウムが環境中の濃度以上に濃縮されるということは考えなくてよい。
Q3 野ざらしの資材置き場にはセシウムが蓄積されていると考えて良いか?
A3
原発事故以後に、外にあったものについては、放射性物質が付いているという可能性はある。
ただ、どのくらいあるかは実際に調べないとわからない。
粉じんが飛んできて、気になるということだが、今の鹿嶋・茨城のレベルで言えば、それで大量な被ばくになるという可能性は非常に低い。
A4
放射性物質は、いまはもう土埃と一緒になっている。
家の中に土埃が入ってくるということは、放射性物質がうちの中に入ってきたことになる。
家の中は出来るだけ掃除機で綺麗に掃除していると、家の中の放射線のレベルは事故前の平常時にかなり近くなる。
外がいくら高くても、家の掃除をきちんとしていれば十分被ばくは低くできる。
A5
水たまりで遊んだ場合の被ばくはほんの僅か。無理して止めさせる必要はない。
ただし、泥水を口に付けないこと。家に帰ったら、手と顔を洗うこと。
Q6 3食井戸水を利用しているが、ミネラルウォーターを利用した方が良いか?
A6
調べないと断言出来ない。
水戸やひたちなかで調べた経験があるが、基本的に深い井戸の場合は原発事故由来の放射性物質は見つかっていない。
A7
芝生の上の放射性物質は、なかなか雨などで流れないので、どうしても放射線量が高い場所がある。
しかし、4時間べったり寝っころがっていたなどしていても、突然健康に影響が出ることは考えられない。
A8
測ってみないとなんとも言えない。
近隣の畑の農作物が出荷制限を受けているかどうか。
出荷制限を受けていなければ、家庭菜園も暫定基準値よりも低いことが想像出来る。
ただし、窪地で雨水が周りから集まってくる場合は、どうしても高くなってしまうことがあるので、注意が必要。
A9
茨城県が調べて、それを信頼するしかない。
野菜と魚は茨城県が頑張って調べているので、基準値を超えているものが出ている可能性は少ない。
万が一、基準値を超えたものを食べたとしても、被ばく量は数マイクロシーベルト程度。
継続的に食べないということには気を付ける。
どうしても気になるなら、同じ産地の同じものを毎日食べない。時々代える。
A10
よく洗う。土を十分に落とす。放射性物質は基本的に土にあるから。
ゆでたうえで食べる。湯がいた水は飲んではいけない。
塩水につける。ただし、栄養バランスを考えた対応も重要。
A11
とにかくよく洗う。
現在の汚染検査の状況から、大量の被ばくは考えられない。
バランスの良い食事をして、適度な運動して暮らすというのが一番。
Q12 市内の放射線量にばらつきがある。放射線量が高い場所に子供を近づけないようにしているが、他にやることはあるか?
A12
高い場所で是非気を付けて欲しいのは、雨どいの出口。
放射線物質がどうしてもそこに集まるので、他の場所より数倍高いということはある。
出口の土を除いてしまうことにより、線量を下げることができる。
A13
取ってしまうか、薄めるのが基本。
セシウムは土の表面にくっついている。
その部分を除いて庭の隅に埋めるか、土の上と下を入れ替えてしまう。
深くまで耕して、混ぜてしまい放射線の量を薄めてしまう。
A14
全く触っていない土だと、大体1~2cmの範囲にほとんどの放射性物質がくっついている。
5cmより深い場所にはほとんどない。
出来るだけ表面を取り除く。気になるのであれば、5cm程度取り除けばほとんど除染出来る。
A15
気にしすぎない。普段通りの生活をする。
被ばくの影響は全くないとは言えないが、普段の生活で十分影響を無くせる。
注意する点は、放射性物質は土埃ということ。
外から帰ったら手洗い、うがいをする。
A16
放射線による健康被害は、やけどのような症状や髪が抜けるものと癌の2つのタイプ。
やけどや髪が抜けるというのは、大体数シーベルト以上でないと絶対起きない。
今の被ばくのレベルで問題になるのは癌。
癌になるのは、500ミリシーベルトを超える場合。
100ミリシーベルトを下回る場合は、自然の発生頻度と区別がつかないので、増えるかどうかはっきりしない。
Q17 放射性物質は、体内に入ってからどのくらいで排出されるか?対策は?
A17
セシウム137は半減期が30年であるが、食べたら100日くらいで体内量は半分になる。
注意するのは継続して食べ続けないこと。取り続けないこと。
ストロンチウムは骨に沈着するが、今回の事故ではほとんど問題にすることはない。
Q18 放射線は年齢や性別によって影響の違いはあるのか?個人差はあるのか?
A18
子供は大人と比べて、放射線に3倍くらい弱い。
基本的に極端な個人差は無い。