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タコ入道
記事ID:0050214
更新日:2021年3月29日更新
昔むかし、平井の浜から沖へ七里から十里に出ると、所々に大小の岩礁がありました。地元の人々はこれを「根」と呼び、それぞれに名前をつけていました。岩礁はたくさんの魚が生息しており、漁師達にとって絶好の漁場でした。
ある日、船に7~8人の漁師が乗り込み、網を張って夜明けを待っていました。
すると深夜、みんなが寝静まったころに、船が転覆しそうなほど大きく揺れ傾きました。漁師達は驚ろき慌てふためき海を見ると、そこには大きなタコの足が3、4本伸び上ってくるではありませんか。
日頃から腕力が強いことで知られる五平次の金貞(きんてい)さんは、タコに向かって鋭い沖鉈(おきなた)をふるい格闘の末、足を一本切り落としました。
タコ入道は慌てて船から逃げ去り、おかげで船は転覆をまぬがれて無事に浜に戻ることができました。
漁師達は大タコの足を持ち帰り、船主の家の太い柱に下げたところ土間にも届いたそうです。吸盤は大きなお椀ほどもあり、遠くから見物人が大勢押しかけたということです。