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祭頭祭当日の神事
祭頭祭は、3月9日に行われる鹿島神宮の春の大祭です。この祭典は大きく三つの神事に分かれます。一つ目は午前10時に執行する「祭頭祭」(さいとうさい)で、本殿において当番字の関係者などが参列し執り行うもので、「出陣の神事」です。二つ目は午後から行われる「祭頭囃」(さいとうばやし)で、十五、六人の囃し人が一組となり太鼓の音に合わせて祭頭囃を歌い、樫の棒を組みほぐしながら囃されるもので、「凱旋の神事」です。この二つの神事に加えて午後6時に執り行う「春季祭」(しゅんきさい)は、来年の奉仕当番字を決める卜定の神事です。
これら一連の神事を総じて祭頭祭と呼び、昭和51年に国選択無形民俗文化財に指定されています。
令和2年の祭頭祭からは、これまで一日のうちに行われていた三つの神事のうち、「出陣の神事(祭頭祭)」のみを3月9日に行い、「凱旋の神事(祭頭囃)」と「卜定の神事(春季祭)」は3月9日の次の土曜日に行う運びになっています。(※ただし3月9日が土日にあたる場合は変更ありません。)
祭頭祭当日の神事を、令和4年に撮影された記録動画と合わせてご紹介します。
3月9日
【出陣の神事 ―祭頭祭―】(午前10時~午前11時頃)
地区の代表者らが鹿島神宮拝殿前に参列し、玉串をあげるなどの儀式が行われます。新発意(しぼち)は狩衣姿で参列します。
※新発意(しぼち)とは、一軍の将として当番卜定後に字内より選ばれる3~6歳の男児。近年は大総督(だいそうとく)と呼ぶことも多い。
3月9日以降の土曜日
【凱旋の神事 ―祭頭囃―】(午後12時頃~)
ほら貝と太鼓が鳴らされる中、甲冑姿の新発意(しぼち)を先頭に衣装を纏った囃人らが本陣(鹿島神宮近くの旅館など)を出発し、町内を勇壮に練り歩きます。
午後4時頃になると囃人の隊列が、鹿島神宮境内に到着します。拝殿前まで来ると、新発意は特設の舞台に着床し、囃人は各組ごとに一度拝殿前で囃します。すべての組が境内に揃うと、祭事委員長の合図に合わせて一斉囃子が行われます。一斉囃子が終わると解散し、本陣に戻ります。ここで新発意は甲冑を解き、狩衣を着装します。
令和4年 祭頭囃 (泉川郷)
令和4年 祭頭囃 (居合郷)
※令和4年の祭頭祭については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮し、祭頭囃の日程を泉川郷と居合郷で分けることとなりました。
【卜定の神事 ―春季祭―】(午後6時~)
新発意と地区の代表者・来年の当番候補の地区の区長らが拝殿前に参列し、春季祭が始まります。
宮司の祝詞奏上の後、町内の若衆によって、万灯と地区で一年間大事に育ててきた大豊竹(だいほうだけ)が何度も叩きつけられて粉々になるまで打ち壊されます。この所作の意義について一説では、大豊竹を一本の稲穂に見立て、そこから無数の米が生まれることになぞらえた予祝行事と言われています。
宮司が次年度の当番候補の地区の字名が入った紙片を釣り上げる「神占の義」が執り行われ、次年の当番地区が決定し、最後に神職らに見送られて地区の代表者らが祭頭囃を歌いながら神宮を後にし、祭が終了します。