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大六天様の当番禰宜の受渡し
佐田の大六天では一年毎に地区の人が当番で禰宜を行います。その当番を次の当番へ受渡しする際のまつりで、鹿嶋に昔から伝わる「みろく」歌と「祭頭ばやし」が使われていました。
まず「みろく」は、「おさかもり」という歌が奉納されました。
【大六天をおくる「さかもり」】
ゆらゆらと おたちある御神を
先にたてて御送り申す 我々は
後で御祝いめされやれ
当番になった家には、「おみかげ」と呼ばれる「円座ぼつちの幣を立てたもの」が、運ばれて来ます。その道中、祭頭囃子が歌われました。その歌詞は、「祭頭祭」で使われるものとは少し違っており六大天を送り出すための歌詞に変わっています。
六大天をおくる祭頭囃子の歌詞(※太字部分がこのまつり独自の歌詞)
弥発生(イヤーホエ) 御神様お立ちだよ 豊穂良豊穂弥(トホヨトホイヤー)
礼(イヤー)豊穂善豊穂弥(トホヨトホヤ) アアヤレソラ 御社楽(オシャラク)豊穂良豊穂弥発生(トホヨトホイヤーホエ)
弥発生(イヤーホエ) 目出度おくりましょ 豊穂良豊穂弥(トホヨトホイヤー)
礼(イヤー)豊穂善豊穂弥(トホヨトホヤ) アアヤレソラ 御社楽(オシャラク)豊穂良豊穂弥発生(トホヨトホイヤーホエ)
弥発生(イヤーホエ) 御送り申す我々は 豊穂良豊穂弥(トホヨトホイヤー)
礼(イヤー)豊穂善豊穂弥(トホヨトホヤ) アアヤレソラ 御社楽(オシャラク)豊穂良豊穂弥発生(トホヨトホイヤーホエ)
弥発生(イヤーホエ) 御祝い申す 豊穂良豊穂弥(トホヨトホイヤー)
礼(イヤー)豊穂善豊穂弥(トホヨトホヤ) アアヤレソラ 御社楽(オシャラク)豊穂良豊穂弥発生(トホヨトホイヤーホエ)
これを繰り返しながら道中を歩き、新しい禰宜の家の近くになると
弥発生(イヤーホエ) 御神様おつきだよ 豊穂良豊穂弥(トホヨトホイヤー)
礼(イヤー)豊穂善豊穂弥(トホヨトホヤ) アアヤレソラ 御社楽(オシャラク)豊穂良豊穂弥発生(トホヨトホイヤーホエ)
と囃子します。
そして当番の家の座敷にあがり、「みろく」の「めでた」の音調で、御神様のおんつきで奥の間をみ申せば松竹をかざり申して
七重の注連を八重に張りそろ
ヨイ ヨイ ヨイヤサ神がよろこぶ
村中何ごとない様に
と祈願し、つぎに「みろく」の「さかもり」を唱えました。
「さかもり」
今日のお酒盛りは 天とう様のご法楽
我はいつれみないさめ申して
花の遊びをさしあげる
何事も悪しき事はけおけて給い御神様
※天とう様の部分を(1)天とう様(2)鹿島様(3)荒神様(4)大六天の順に代えて唱える。
鹿島文化研究会編集『鹿島みろく』(昭和48年発行)