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木滝の富士山
記事ID:0050215
更新日:2021年3月29日更新
昔むかし、木滝に松や椎の木が茂った小高い丘がありました。
この小高い丘を村の人々は富士山と呼んでいました。
八月のある日の朝、ここを通りかかった者たちが
「木滝の人たちは、こんなつまらない山を富士山と呼ぶらしい。駿河の富士山には夏でも雪があるというのに、この山はないじゃないか。」と口々にあざ笑いながら通り過ぎました。
夜になり、仕事を終えた先ほどの者らがちょうど木滝の富士山の下にさしかかると、これは不思議、
土用(八月)の最中であるのに、空高くから白い雪が降ってくるではありませんか。
富士山をあざ笑った人達は「土用に雪を降らせるとは、ただの山ではない。」と驚き、
それ以来この丘を大事にして、富士山大権現と刻んだ立派な石を建て毎年しめ飾りを取りかえたりお神酒を供えたりしたそうです。