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鹿嶋の地名の由来と表記

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記事ID:0050002 更新日:2021年3月29日更新

1 カシマの地名の由来

カシマの地名の由来は古来から諸説あります。

  • 「香島天之大神の名に由来している」(『常陸国風土記』)
  • 「鹿嶋という小島の名に由来している」(『當社伝記』)
  • 「鹿の棲む嶋」(『鹿嶋志』)
  • 「神嶋(かみしま)の略」(『旧字考』『鹿嶋志』)
  • 「甕嶋(かめしま)の略」(『鹿嶋志』)
  • 「カシシマの転化」

全国にあるカシマという地名を見ると、いづれも海や河口に沿った港に関係のある地域が多いことから、船を繋ぎとめておくカシが林立するシマ「カシシマ」が転化して「カシマ」となった説。

…等々があります。どれが正しいのかは分かりませんが、カシシマ説が有力とされています。

2 昔のカシマ

ではいつからカシマという地名は使われていたのでしょうか?
『続日本紀』和銅六年(713)五月二日の条に、『風土記』の編纂を命じている記事があります。畿内と七道諸国について、郡・郷の名称は好い字を選んでつけよ、動植物や鉱物(金・銅)などの詳しい種類や、土地の状態や由来、旧聞などを記せとあり、現存する『風土記』は五か国だけです(豊後・肥前・播磨・出雲・常陸)。

『常陸国風土記』には、

「古老の日へらく、難波の長柄の豊前の大朝に馭宇(あめのしにしら)しめしし天皇の世、己酉の年、大乙上中臣□子、大乙下中臣部兎子(うのこ)等、惣領高向の大夫請(こ)ひて、下総の国、海上(うなかみ)の国造(くにのみやつこ)の部内、軽野より以南の一里、那賀の国造の部内、寒田より以北の五里を割きて、別て神の郡(こほり)を置きき。其処に有(い)ませる所の天(あめ)の大神の社・坂戸の社・沼尾の社、三処を合せて惣べて香島の天の大神と称ふ。よりて郡に名づく。風俗の説に霰雫る香島の国と云う。」

とあり…香島の天の大神という神様の名前に基づいて香島郡と名付けた…と記されています。

ここで不思議なのは、カシマに“香島”という漢字があてられています。「鹿嶋」でもなく、「鹿島」でもなく
「香島」です。
「香」の字がその後なぜ使われなくなったのかは謎です。

3 鹿“嶋”、鹿“島”はいつから?

では鹿“嶋”あるいは鹿“島”はいつごろから使われているのでしょうか。
『続日本紀』養老七年(723)十一月丁丑の条に「常陸国鹿嶋郡」が、天平勝宝四年(752)の正倉院所蔵の調布(税として納められた布)には「常陸国鹿嶋郡高家郷(たけいごう)戸主占部手志戸占部鳥麿調曝布(さらしぬの)壱端」とあります。また神野向遺跡からは「鹿嶋郡厨」と書かれた9世紀前半の墨書土器が、神野向遺跡の谷津を挟んで西側に位置する御園生遺跡からは「島」と書かれた9世紀後半の墨書土器が出土しています。

鹿嶋郡厨の画像

4 “嶋”、“島”どっち?

島という字は、そもそも渡り鳥がよりどころとして休む海中の山の様子から、鳥の象形文字と山の象形文字から成り立っており、どちらもシマを表します(島は常用漢字、嶋は異体字として漢和辞典に掲載されている)。
当時の文字がそのまま残っている正倉院の調布や出土文字資料である墨書土器をみると9世紀前半までは“嶋”が使われていることが窺えます。10世紀に成立した『倭名類聚抄』は、写本のため、本によって“嶋”だったり、“島”を使っていたりします。中世や近世以降にもいろいろな書物(『當社列伝記』『旧地考』『鹿嶋志』など)が書かれていますが、 “嶋”と“島”両方がそれぞれ使われています。嶋と島を明確に使い分けている事例はありません。
さらに明治22年の町村制の告示においては「鹿嶋郡鹿嶋町」と記載されており、今でも鹿島神宮のお守りやお札には「鹿嶋神宮」という表記が使われています。このように昔から近代・現代まで「鹿嶋」と「鹿島」の表記は混在しています。

5 現在の鹿嶋市は?

では、鹿嶋市はなぜ“嶋”を使用しているのでしょうか?これは平成7年、旧鹿島町と旧大野村が合併したときに、はじめは鹿“島”市とする予定でしたが、この当時すでに佐賀県鹿島市があり、同名では混乱することから、鹿嶋市となりました。
歴史的な妥当性と呼称の変更がないことにより鹿“嶋”市が適切であるとされました。
この時正倉院の調布や墨書土器までは検討されていなかったと思いますが、“嶋”という字になったのは必然的なことだったのかもしれません。

参考文献

  1. 鹿嶋市史編さん委員会『鹿嶋市史 地誌編』平成17年2月18日
  2. 茨城県立歴史館『学術調査報告8 鹿島信仰の諸相』平成20年3月5日
  3. 鹿嶋市『鹿島町・大野村合併の記録=鹿嶋市誕生=』平成8年3月15日
  4. 鹿嶋市『図説 鹿嶋の歴史 原始・古代編』平成18年3月31日
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