○鹿嶋市議会政治倫理条例

平成29年12月15日

条例第23号

地方議会の改革が進行する中で,鹿嶋市議会は,市民から信頼される先進議会を目指し,鹿嶋市議会基本条例に基づき,そのあり方を議論検討してきた。

今日,議会は,改革と市民の市政参画の流れに対応し,市民からの一層の信頼を得るためには,議員と市民が選挙を通じて成立した負託関係を,日常的に履行する仕組みが求められている。

政治倫理の確立は,高い道徳心に裏打ちされた議員と市民との強い絆の象徴であり,改革の根幹でもある。すなわち,議員は,市民の代表であるという自覚と良識を持ち,政治倫理を高め,活動し,誇りを持って市政を担い,説明責任を果たして行かなければならない。

よって,ここに鹿嶋市議会は,この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は,鹿嶋市議会議員(以下「議員」という。)の政治倫理に関する基本的な行動規範を定めることにより,議員の政治倫理の意識の向上及び確立に努め,もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員の責務)

第2条 議員は,市民の代表として市政に携わる権能と責務を深く自覚し,自己研さんを積み,その資質を高めるとともに,市民に対し,常に政治倫理に関する高潔性を示すことができるよう努めなければならない。

(政治倫理基準)

第3条 議員は,公職にある者に対し適用される法律のほか,次に掲げる政治倫理基準を遵守するよう努めなければならない。

(1) その権限,地位を利用して,職務の公正を疑われるような金品の授受をしてはならない。また,利欲の追求もしてはならない。

(2) 市職員の公正な職務執行を妨げ,その権限又は地位を利用し,不当な働きかけをしてはならない。

(3) 市税等の納税義務を果たすとともに,公共料金の納付,支払いを遵守しなければならない。

(4) 市民の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み,議員としての職務について,疑惑を持たれるおそれのある行為をしてはならない。

(5) ハラスメント,その他人権侵害のおそれのある行為をしてはならない。

(6) 市又は市が資本金その他これに準ずるものを出資し,若しくは市と密接な関係があると認められる法人(以下「市等」という。)が行う許認可等の処分や,公共工事などの契約に関し,議員は,特定の個人,企業又は団体が有利又は不利になるような働きかけをしてはならない。

(7) 市職員の採用,昇任又は人事異動について,特定の職員が有利又は不利になるような取扱いの要求をしてはならない。

(8) 政治活動に関して,政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附をしてはならない,又は受けてはならない。また,議員の後援団体についても同様の取扱いの措置をしなければならない。

2 議員は,前項に規定する政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑を持たれたときは,自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるよう努めなければならない。

(市との契約に対する遵守事項)

第4条 議員は,自らが実質的経営に関与している企業又は直接の利害関係にある企業と市等の間で締結する請負契約及び指定管理者の指定等に関し,地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2の規定の趣旨を尊重し,市民に疑念を生じさせないよう努めなければならない。

(就業等の報告と公開義務)

第5条 議員は,議員となったときに,議員本人が市との業務取引のある個人事業を営む場合又は市からの業務請負がある法人やその他の団体(以下「法人等」という。)の取締役,理事,監査役,監事,顧問若しくはこれらに準ずる職(以下「取締役等」という。)に就いている場合は,議員の任期開始の日から60日以内に,議長にその旨を報告しなければならない。議長は,報告内容を精査し,是正が必要な場合は是正を勧告し,是正がされたのち,報告内容を公開するものとする。なお,事業を休止したとき若しくは新たに事業を開始したとき又は取締役等を辞したとき若しくは取締役等に就任したときも同様とする。

2 前項の規定の適用に当たっては,議員が取締役等に就いていない場合でも,次の各号のいずれかに該当するときは,当該議員は当該法人等の取締役等に就いているものとみなす。

(1) 議員が法人等に資本金その他これに準ずるものの2分の1以上を出資しているとき。

(2) 議員が法人等から年額300万円以上の報酬,顧問料その他これらに準ずるものを受けているとき。

(市民の審査請求権)

第6条 市民(地方自治法第18条に規定する本市に選挙権を有する者をいう。ただし,議員は除く。)は,議員に次の各号のいずれかに違反する疑いがあるときは,議長に審査を請求することができる。

(1) 第3条に規定する政治倫理基準(以下「政治倫理基準」という。)

(2) 第4条に規定する市との契約に対する遵守事項(以下「市との契約に対する遵守事項」という。)

2 前項の規定による審査の請求をしようとする者は,議員の選挙権を有する市民の100分の1以上の連署と,議員を疑うに足る証拠資料を添付した審査請求書を議長に提出しなければならない。

3 第1項の選挙権を有する者とは,公職選挙法(昭和25年法律第100号)第22条の規定による選挙人名簿の登録が行われた直近の選挙において,選挙人名簿に登録された者とする。

4 審査請求は,政治倫理基準及び市との契約に対する遵守事項の違反があった日から1年を経過したときは,行うことができない。ただし,正当な理由があると議長が認めたときはこの限りではない。

(審査会の設置)

第7条 議長は,審査請求を受けたときは,速やかに鹿嶋市議会政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し,当該審査請求に係る事項の審査を求めなければならない。ただし,政治倫理基準及び市との契約に対する遵守事項に違反していないことが明らかな場合並びに審査請求の内容に明らかな不備がある場合は,この限りではない。

2 審査会は,法律又は会計等当該審査に関する専門的知識を有する者4名をもって組織し,委員は議長が委嘱する。

3 審査会に,委員の互選により委員長及び副委員長を置く。

4 審査会は,委員長が招集し,委員の過半数の出席がなければ会議を開くことができない。

5 審査会の委員の任期は,議長が委員を委嘱した日から審査の結果を議長に報告した日までとする。また,審査会の委員の再任は妨げない。

(審査会の審査等)

第8条 審査会は,前条第1項の規定により議長から審査を求められたときは,次の各号に掲げる事項について審査するものとする。

(1) 審査請求の適否

(2) 政治倫理基準及び市との契約に対する遵守事項(以下「政治倫理基準等」という。)の違反の存否

(3) 鹿嶋市議会において講ずべき措置があるときは,その講ずべき措置

2 審査会は,前項の審査を行うため,審査対象議員その他必要と認める者に対し,事情聴取などの調査を行うことができる。

3 審査会は,審査対象議員に弁明の機会を与えなければならない。

4 審査会の委員は,職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

5 審査会は,公開とする。ただし,委員の3分の2以上の同意で非公開にすることができる。

6 審査会の委員は,審査に当たり,公平かつ適切に職務を遂行するとともに,その職務を政治的目的のために利用してはならない。

7 審査会は,審査の結果(以下「審査結果」という。)を議長に報告しなければならない。

(議員の協力義務)

第9条 審査対象議員は,審査会の要求があるときは,審査に必要な資料を提供し,又は会議に出席して意見を述べなければならない。

2 議長は,審査対象議員が求めに応じなかった場合,その旨を速やかに公表しなければならない。

(審査結果の措置)

第10条 議長は,第8条第7項の規定により審査結果の報告を受けたときは,速やかに当該審査結果を請求者及び審査対象議員に通知しなければならない。

2 議長は,審査会が審査対象議員の名誉を回復することが必要であると認めるときは,必要な措置を講じなければならない。

3 議長は,審査会からの報告を尊重し,政治倫理基準等に違反したと認められる議員に対して,議会の名誉と品位を守り市民の信頼の回復をするため,議会に諮り次に掲げる措置を講じなければならない。

(1) 議会だより及び議会ホームページ等を活用し,審査請求の内容,審査経過及び審査結果の公表

(2) 第8条第1項第3号に規定している講ずべき措置があるときは,その措置

(3) その他議長が必要と認める措置

(条例の見直し)

第11条 議会は,社会的倫理観の変化等により,この条例の改正の必要が生じたときは,速やかに改正の手続きを講ずるものとする。

(委任)

第12条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,議長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は,平成30年4月1日から施行する。

(適用区分)

2 政治倫理基準等の規定は,議員の職に就いた日から60日以降に行われた議員の行為について適用する。

鹿嶋市議会政治倫理条例

平成29年12月15日 条例第23号

(平成30年4月1日施行)