○鹿嶋市議会基本条例

平成25年6月21日

条例第21号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 議員(第3条―第5条)

第3章 議会(第6条―第9条)

第4章 市民と議会との関係(第10条・第11条)

第5章 議会と市長等との関係(第12条―第15条)

第6章 議会の機能強化等(第16条―第19条)

第7章 議員の政治倫理及び議員定数等(第20条・第21条)

第8章 最高規範性及び条例の見直し(第22条・第23条)

附則

鹿嶋市は,昭和の大合併や一大国家プロジェクト「鹿島開発」,平成7年(1995年)の鹿島町と大野村による合併・市制施行など歴史的転換を経ながら,まちの姿を大きく変えてきた。

今日の鹿嶋市の姿を決定づけた鹿島開発は,鹿島地域はもとより茨城県の飛躍的な発展と県民福祉の向上に大きく貢献したが,当時は,全国各地で産業活動に係る公害問題の顕在化等を背景に,先人たちは難しい選択を迫られた。

こうした今日に至るまでの歩みには,先人たちが一体となって幾多の困難を乗り越えてきた歴史があり,そこには先人たちのまちに対する深い愛情とともに,たゆまぬ努力と自己犠牲,果敢な挑戦,未来を見据えた先見性の決断力があった。

平成23年(2011年)3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」では鹿嶋市も震度6弱を記録し,未曽有の被害をもたらしたが,この大震災を教訓に災害に強いまちづくりに向け,英知を結集し,幅広い見地からの未来を志向した取り組みが求められる。

また,少子高齢化の進行や人口減少社会の到来,高度情報化社会の進展など社会経済情勢は大きく変化するとともに,市民の行政需要も高度化,多様化している。

さらに,地方分権改革・地域主権改革の進展により,自治体の自己決定と自己責任の領域の拡大が進み,新たな地方自治の時代を迎えた今日,議会の果たすべき役割及び責務の重要性がますます増大している。

鹿嶋市議会では,予算と決算を総合的一体的に審査,調査するための予算決算常任委員会の設置や一般質問のFM放送,質問手法の見直しなど,これまでも改革に積極的に取り組んできたが,時代の変化に応じた議会運営や議会の更なる機能強化を進めて行かなければならない。

このため,鹿嶋市議会は,先人たちの高い志を継承し,「市民に開かれた議会」,「自立した議会」,「効率的な議会」を念頭に,議会の一層の活性化を推進し,市民の意思を反映させ,市民とともに新たな鹿嶋を築いていく,真の地方自治の実現に全力を尽くすことを決意し,ここに鹿嶋市議会基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,地方自治の本旨に基づき,議会に関する基本理念を明らかにし,議員及び議会の使命及び役割等,議会の基本となる事項を定めることにより,市民に開かれ,信頼される議会の実現を図り,もって市民の豊かな生活とより良い明日の鹿嶋の創造に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は,積極的に改革に取り組み,日本国憲法に定める市の唯一の議事機関として,常に市民とともに歩む,地域主権の時代にふさわしい議会を目指すものとする。

第2章 議員

(議員の使命)

第3条 議員は,市民の直接選挙によって選ばれた公職として,また合議制の機関である議会の一員として,常に市政の課題の把握に努め,公益性の見地から,市政全体を見据え,市民の多様な意見を市政に反映させることを使命とする。

(議員の役割)

第4条 議員は,前条の使命を果たすために,次に掲げる役割を担うものとする。

(1) 議会の会議,委員会及び地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条第12項の規定による議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場(以下「会議等」という。)において,議案等の審議,審査等を行うこと。

(2) 市の政策形成に必要な調査研究を行うとともに,政策立案及び政策提言を行うこと。

(3) 市民の多様な意見を市政に反映させるため,市民の意見を的確に把握するとともに,議会活動について,市民にわかりやすく説明すること。

2 議員は,前項各号に掲げる役割を果たすため,次に掲げる原則に基づき活動するものとする。

(1) 市政全体を見据えた広い視点及び長期的展望をもって,的確な判断を行うこと。

(2) 不断の研さんに努め,政策立案機能の充実及び資質の向上に努めること。

(会派)

第5条 議員は,同じ理念を共有する政策集団として,議会活動を行うための会派を結成することができる。

2 会派は,前項の会派の特性を生かし,政策立案,政策提言等に資するため,積極的に調査研究等に努めるものとする。

第3章 議会

(議会の使命)

第6条 議会は,合議制の機関としての特性を生かし,民意を代表する議員の多彩な議会活動を通じて,市民の多様な意見を集約し,市政に適切に反映させることを使命とする。

(議会の役割)

第7条 議会は,前条の使命を果たすために,次に掲げる役割を担うものとする。

(1) 議案等の審議,審査により,議事機関として,市の意思決定を行うこと。

(2) 市政等の調査研究を通じて,自治立法権を有効に発揮し,政策立案等を行うこと。

(3) 意見書,決議等により,国,県等に対する意見表明を行うこと。

(4) 市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)の行財政の運営状況等について,監視及び評価を行うこと。

(5) 議会活動で明らかとなった市政の課題並びに議案等の審議及び審査等の内容について,市民にわかりやすく説明すること。

2 議会は,前項各号の役割を果たすため,次に掲げる原則に基づき活動するものとする。

(1) 議会活動の公正性及び透明性を確保すること。

(2) 議会の役割を不断に追求し,自らの改革に継続的な取り組みを行うこと。

(会議等の運営)

第8条 議会は,会議等の設置目的を達成するため,議会活動の公正性及び透明性を確保し,議員相互間の自由闊達な討議が行われるよう努めるとともに,円滑かつ効率的な運営を推進するものとする。

(委員会の活動)

第9条 委員会は,市政の課題に迅速かつ的確に対応するため,その機能を十分に発揮しなければならない。

2 委員会は,議案等の審査及びその所管に属する事務調査の充実を図るとともに,政策立案及び政策提言を行うものとする。

第4章 市民と議会との関係

(市民参加の推進等)

第10条 議会は,次に掲げる事項に留意し,市民の多様な意見を的確に把握し,政策形成に適切に反映できるよう,市民の議会活動への参加を推進するものとする。

(1) 会議等を原則として公開すること。

(2) 議会活動に関する情報の積極的な公開及び提供に努めること。

(3) 議会活動への参加の推進の際には,すべての市民が機会を等しく有することができるよう配慮すること。

2 議会は,市民等の知見及び意見を審査等に反映させるため,公聴会及び参考人の制度の活用に努めるものとする。

3 議会は,市民から提出された請願及び陳情を,市民の政策提案と受け止め,必要に応じて,市民の意見を聴く機会を設けることができる。

4 議会は,議会活動を市民へ報告する議会報告会の開催や,市政全般にわたって,市民との自由な意見交換の機会の創出に努めるものとする。

(広報広聴活動の充実)

第11条 議会は,政策立案等の参考に資するため,広く市民意識を調査することができる。

2 議会は,議会活動に関し,多様な媒体を活用して積極的な広報及び広聴に努めるものとする。

第5章 議会と市長等との関係

(市長等との関係)

第12条 議会は,二元代表制の下,市長等との立場及び権能の違いを踏まえ,対等かつ緊張ある関係を保持しながら,第7条第1項各号に掲げる役割を果たすものとする。

(会議等における質問等の充実)

第13条 議会は,会議等での質問及び質疑の充実に向け,一問一答方式その他の効果的な方法を選択するものとする。

(議会への説明等)

第14条 市長等は,予算編成方針を定め,若しくは予算を調製したとき又は市政に係る基本計画等の重要な政策若しくは施策について,基本方針,素案その他これらに類するものを作成し,若しくは変更したときは,議会にその内容を説明するよう努めなければならない。

2 議会は,市長等が提案する市政に係る重要な政策等について,審議等を通じてその政策等の水準を高めるため,市長等に対し必要な資料の提供を求めることができるものとする。

3 市長は,予算を議会に提出し,又は決算を議会の認定に付するに当たっては,事業別の説明資料の作成等,わかりやすい説明に努めるものとする。

4 市長等は,予算の調製又は市政に係る基本計画等の重要な政策若しくは施策の作成若しくは変更に当たっては,これらに関連する議会の政策提言等の趣旨を尊重するものとする。

(議決事件の拡大)

第15条 議会は,議事機関としての機能を十分に発揮するため,市政の重要な計画等の策定及び変更について,法第96条第2項の規定に基づく議会の議決すべき事件の拡大を図るものとする。

第6章 議会の機能強化等

(検討組織の設置)

第16条 議会は,継続的な議会改革に取り組むため,検討組織を設置することができる。

(議会の機能強化)

第17条 議会は,政策決定並びに市長等の事務の執行の監視及び評価並びに政策立案及び政策提言に関する議会の機能を強化するものとする。

2 議会は,審議等を充実し,議会が担う政策機能等を十分に発揮するため,法第100条の2に規定する学識経験を有する者等による専門的事項に係る調査を積極的に活用するものとする。

3 議会は,議会活動に関して,専門的事項に関する調査が必要であると認めるときは,議決により,学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

4 会派及び議員は,政務活動費を有効に活用する等,積極的に市政に係る調査研究,政策立案等に努めるものとする。

(議会事務局)

第18条 議会は,政策立案機能を高め,議会活動を円滑かつ効率的に行うため,議会事務局の調査機能,法務機能等の充実強化及び組織体制の整備に努めるものとする。

(議会図書室)

第19条 議会は,議員の調査研究,政策立案等に資するため,議会図書室を適正に管理し,その充実強化に努めるものとする。

第7章 議員の政治倫理及び議員定数等

(議員の政治倫理)

第20条 議員は,市民全体の代表としての良心に従い,及び責任感をもって,常に高い倫理観と品位の保持及び識見の向上に努めなければならない。

(議員定数及び議員報酬)

第21条 議員定数は,効率的な議会運営の視点からだけではなく,市民の代表である議会が,市民の意見を市政へ反映させるなど,議会の使命及び役割を十分に果たせるよう定めなければならない。

2 議員の報酬は,市民の信託にこたえる議員活動への対価であることを基本として定めなければならない。

3 議会は,委員会又は議員の提案による議員定数及び議員報酬の改正にあたっては,公聴会及び参考人制度等を活用し,市民等の意見の聴取に努めなければならない。

第8章 最高規範性及び条例の見直し

(最高規範性)

第22条 この条例は,議会の最高規範であり,議会に関する他の条例,規則等を解釈し,又は制定し,若しくは改廃するときは,この条例の趣旨を尊重し,この条例に定める事項との整合を図るものとする。

(条例の見直し)

第23条 議会は,常に市民の意見,社会情勢の変化等を勘案し,必要があると認めるときは,この条例の規定について検討を加え,その結果に基づき所要の措置を講ずるものとする。

この条例は,公布の日から施行する。

鹿嶋市議会基本条例

平成25年6月21日 条例第21号

(平成25年6月21日施行)